古期御嶽火山噴出物のK-Ar年代測定

K-Ar age determination of the early Ontake volcanic eruption products

古山 勝彦

Katsuhiko Furuyama

大阪市立大学理学部地球学教室

受け入れ教官:長尾 敬介


 木曽御嶽火山の活動は古期,新期に区分されている.新期火山噴出物のK-Ar年代は最近Matsumoto and Kobayashi によって感度法により測定されたが,中期更新世とされる古期御嶽火山の系統的なK-Ar年代は報告されていない.古期,新期の火山噴出物の間には不整合があり,従来かなりの浸食期間が予想されていた.古期御嶽火山噴出物は北,南東,南西に分かれて分布し,野外での全域の噴出物対比は困難であるが各地域内での層序は詳細にわかってきている.このため,古期火山噴出物のK-Ar年代測定は火山層序に年代尺度を与え新旧火山の活動の実体を明らかにし,御嶽周辺の八ケ岳などを含めた中部地方の当時の火山帯の復元や御嶽広域テフラの年代決定,複合するplate上の火山活動の実体を知る上でも寄与すると考え,共同利用研究として本テーマを選んだ.

御嶽火山活動の概要
 御嶽火山活動は長い静穏期をはさみ,古期御嶽火山,新期御嶽火山に分けられる.
古期御嶽火山
 主に安山岩-玄武岩の噴出物(SiO2 50-67%)を約80km3生産したが,カルデラ形成により山体中央部は失われた.現在は山体下部が北,南東,南西地域に分かれて分布する.初期の噴出物(土浦沢溶岩,白布谷溶岩,箱谷溶岩)を覆い,幕岩川溶岩層,倉越原溶岩層が広域に分布する.さらに倉越原溶岩の上位の溶岩が山体南東部の大又川,溝口川,鈴が沢流域(下位から鈴が沢溶岩,溝口川溶岩,三笠山溶岩),山体北部(布川溶岩,千間樽溶岩),に主に分布する.いくつかの放射年代が報告されているものの測定値に差違が大きく,山田・小林(1988)では紹介されていない.

静穏期
 古期御嶽火山の活動後,深い谷地形の形成(東麓の白川,湯川),岩屑なだれの流下等,火山活動のやや長期(数万年以上)の静穏期があった.

新期御嶽火山
 約8-3万年の間の活動.継母岳火山群(流紋岩質デイサイト質噴出物(SiO2 73-66%)),の活動により古期御嶽火山帯中央部にカルデラが形成され,つづいて継母岳火山群の山体が形成された.摩利支天火山群(安山岩質噴出物(SiO2 52-64%))の活動により現在の御嶽山中央部が形成された.引き続く摩利支天火山群の活動により山頂部に重複して成層火山体が形成された.

K,Ar年代測定
 試料:出来る限り新鮮な試料を採取し,60-100メッシュにそろえ,磁石であらかじめ強磁性鉱物を除いた上で,電磁分離器を用い,斑晶鉱物(主として斜長石)を取り除き,分析試料とした.

 試料採収地は以下の地点で行い,34試料について測定した.

	東麓:倉越原,見晴,湯川,中山
	南東麓:南又,下樽沢,上谷,大正滝,中谷,岩井沢
	南麓:三笠山,溝口川,御嶽高原,松越,鞍越,標高1550m
	西麓:さわら谷,落ち合い,滝越,上黒沢,箱谷,小切谷,本谷,上俵山,土浦沢
 従来のデータからの予想年代は0.3-0.6Maである.現在,Kが未測定で年代はまだ出ていないが,仮のK濃度で計算すると,0.45-1.0Maの年代範囲である.大気混入率は50-70%のものが多く,若い時代としては精度よいAr測定ができた.


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Institute for Study of the Earth's Interior