舞鶴花崗岩のRb-Sr同位体年代学

Rb-Sr chronology of Maizuru granites

早坂 康隆

Yasutaka Hayasaka

広島大学理学部地球惑星システム学教室

受け入れ教官:加々美 寛雄


目的:
   表記共同利用研究は,1996年5月27日から6月4日までの9日間を通して行われた.研究の主たる目的は,舞鶴市西方に分布する舞鶴帯夜久野北帯の舞鶴花崗岩のRb-Sr同位体年代の測定である.前回の共同利用研究(1992年度)においては,同じ夜久野北帯で,舞鶴花崗岩の西方に隣接して分布する桑飼花崗岩のRb-Sr同位体年代が,327Maおよび163Ma(いずれも全岩アイソクロン法による)と測定され,この結果は既に公表した(池田・早坂,1994:岩鉱,vol.89,454−464).この,163Maという値は,予想外に若い年代であり,特に,夜久野北帯は下部トリアス系志高層群に不整合に覆われるとされていること(志高不整合)と矛盾している.夜久野北帯に志高層群より若い深成岩類が存在するかどうかは,志高不整合の再検討をもせまる重要な問題である.この163Maの年代の確証を得るために,桑飼花崗岩に比較して変形・変質の程度が弱く,より若いものである可能性をうかがわせる舞鶴花崗岩の同位体年齢の測定を行うことを計画した.

結果:
 上記目的のために,舞鶴花崗岩類10試料(内2試料は斑れい岩,1試料は石英閃緑岩,残りはトーナル岩)のRb-Sr系の同位体比および同位体希釈法による定量分析を実施した.滞在期間中に予定していた全ての分析を終え,精度の良いデータを得ることができた.データを整理した結果,トーナル岩の7試料について以下の全岩アイソクロンを得ることができた.

 Age=200.3±14.6Ma
 SrI=0.70542±0.00013
 MSWD=0.66
 舞鶴花崗岩の同位体年代はこれまで測定されたことがなく,この年代は,新しいデータである.200Maの年代は,明らかに志高層群の堆積年代より若く,志高不整合の再検討が急務となった.さらに,飛騨帯に同時代の花崗岩があり,これらとの対比も重要と考えている.


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Institute for Study of the Earth's Interior