九州肥後帯に産する深成岩類の岩石学的研究

Petrological studies of plutonic rocks in the Higo Belt, Kyushu

亀井 淳志

Atsushi Kamei

山口大学大学院理学研究科

受け入れ教官:加々美 寛雄


目的
 中部九州の肥後変成帯には,北から間の谷変成岩類・肥後変成岩類・肥後深成岩類および竜峯山変成岩類が分布する.肥後深成岩類は岩相の違いにより白石野花崗閃緑岩および宮の原トーナル岩に区分される.今回地質調査を行った結果,両岩体の火成活動史は,1. 宮の原トーナル岩が竜峯山変成岩類に貫人,2.宮の原トーナル岩および竜峯山変成岩類の変形作用,3.結晶質石灰岩類が宮の原トーナル岩および肥後変成岩類にナップして定置,4.白石野花崗閃緑岩が宮の原トーナル岩・肥後変成岩類および結晶質石灰岩ナップに貫入となる.これまで両岩体は,地体構造論から領家花崗岩類に対比されてきた.また,両岩体の黒雲母のK-Ar年代は,約100Maを示し,同位体年代学的にも領家花崗岩類のメンバーてあると考えられている.しかし,宮の原トーナル岩の火成活動時期は,白石野花崗閃緑岩のそれより明らかに古い.したがって,両岩体のRb-Sr全岩鉱物アイソクロン年代,Sm-Nd全岩鉱物アイソクロン年代により,肥後深成岩類の火成活動時期を検討する必要がある.

結果
 今回は,両岩体ともに全岩の同位体比分析を行わず鉱物のみによる予察的な検討を行った.その結果,白石野花崗閃緑岩からは3点(斜長石・カリ長石・角閃石)のRb-Srアイソクロン年代約99Maを得た.また,Sm-Nd系では3点(斜長石・カリ長石・角閃石)で約142Maを得た.宮の原トーナル岩からは,Rb-Sr系2点(珪長質鉱物,角閃石)で約80Ma,Sm-Nd系2点(珪長質鉱物,角閃石)で約210Maを得た.

 白石野花崗閃緑岩のRb-Srアイソクロン年代約99Maは,黒雲母のK-Ar年代約100Maと整合的であり,この岩体の冷却年代を示していると考えられる.Sm-Nd系の年代約142Maは,誤差が30Maと大きく正確なアイソクロン年代とは言えない.一方,宮の原トーナル岩のRb-Sr系の年代約80Maは,火成活動史と整合的でなくこの岩体の冷却年代とは考えがたい.Sm-Nd系の年代約210Maは火成活動史と整合的である.

 これらの考察は予察的なものであり,今後,両岩体の全岩の値を測定し,Rb-Sr全岩鉱物アイソクロン年代,Sm-Nd全岩鉱物アイソクロン年代を決定する必要がある.


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Institute for Study of the Earth's Interior