東北地方およびフォッサ・マグナ地域の新生代火山岩中に産する超苦鉄質〜苦鉄質捕獲岩のSr,Nd同位体比に関する研究

Sr and Nd isotopic studies of ultramafic-mafic xenoliths in Cenozoic volcanic rocks in the Tohoku and Fossa-Magna regions

近藤 寛子,酒井 智子,野村 朋子

Hiroko Kondo, Tomoko Sakai, and Tomoko Nomura

新潟大学教育学部4年

山本 佳明

Yoshiaki Yamamoto

新潟大学大学院教育学研究科修士1年

受け入れ教官:加々美 寛雄


1. 山形県温海地域(近藤寛子,新潟大学教育学部4年)
 研究目的: 温海地域の捕獲岩のRb-Sr年代研究は昨年坂口(1996)によりなされたが,みな新しく,古い年代の出たものはない.しかし,採集した場所の違いによりストロンチウム同位体比が大きく異なる2タイプに分かれ,それらの一方の値は母岩のドレライトの同位体比と近い値であった.坂口(1996)が採集した捕獲岩の多くは角閃石が少なく,斜長石,輝石の組み合わせのものがほとんどであった.

 研究結果: そこで今回は鉱物組み合わせの異なったサンプルについてストロンチウムおよびネオジムの同位体比の測定及び年代測定を目的とした.その結果,7サンプル中3サンプルについてRb-Sr,Sm-Nd系共に年代が得られた.

2. 新潟県海川地域の鮮新世海川火山岩類とそれに包有されるCumulate Xenolithの形成年代と成因関係(山本佳明,新潟大学大学院教育学研究科修士1年)
 研究目的: 新潟県海川地域に位置する鮮新世海川火山岩類やその中に包有されるXenolithに関する岩石学的な研究は,Shimazu et al.,(1979),鈴木ほか(1985),Shuto et al.,(1988),佐々木(1993MS)によって詳細な報告がなされてきた.これまでの研究からそれぞれの形成年代は海川火山岩類に関しては,層序学的見地から鮮新世の噴火物と考えられており,またその中に包有されるゼノリスについては成因の面で統一した見解がいまだ得られておらず未解決のままである.そのため今回はそれぞれの絶対年代を測定し,形成年代について議論する.

 研究手法: 昨年,共同利用でゼノリスのRb-Sr系鉱物アイソクロン年代の検討を行なった.その結果興味深いデータが得られたものの議論の予知のあるデータは余り得られなかった.今回は,海川火山岩類に関しては,K-Ar法を用いて,ゼノリスについては過剰Arの存在を考えてK-Ar鉱物アイソクロン法を用いて年代測定を行なった.また,海川火山岩類の成因を検討するために,Nd-Sr同位体比も測定した.

 研究結果: Ar同位体の測定は無事終了したが,Kの定量値がまだ得られていないため正式な年代はまだ得られていない.海川火山岩類のNd-Sr同位体比に関しても測定は無事終了し,興味深い結果が得られた.他地域との比較検討が楽しみである.

3. 八ケ岳地域(酒井智子,新潟大学教育学部4年)
 研究目的: 八ケ岳火山列は,糸魚川-静岡構造線,中央構造線,仏像-糸魚川構造線などとの交点に近く,かつ南北フォッサ・マグナの境目に位置している.これらの条件の下,八ケ岳地域が東北日本,西南日本とどのように対応しているかは,はっきりしていない.そこで,本研究では八ケ岳地域に産出するハンレイ岩質の捕獲岩を用いて,地下深部の状態を推測することを目的とする.今回のセンターの共同利用では,特に,八ケ岳火山岩類中に捕獲された集積岩類のSr,Nd同位体比およびRb-Sr系による年代測定を目的とした.

 研究結果: アイソダイナミックセパレーター及び,ヨウ化メチルを用いた鉱物分離によって,7種類の岩石をさらに20サンプルにわけ,測定元素を抽出し,質量分析計を用いて同位体比の測定を行った.今回,Sr同位体比に差がでたものは5種,Nd同位体比に差がでたものは,3種であった.さらに,Nd-Smアイソクロン上にプロットし,有為な年代を推定できたものは1種であった.なお,Rb-Sr系については,まだ,スパイクの濃度が得られていないため,年代を推定できていない.

4. 山梨県佐野川地域(野村朋子,新潟大学教育学部4年)
 南部フォッサマグナ地域に分布する佐野川はんれい岩体とそれに包有される苦鉄質-超苦鉄質岩石の岩石学的・Sr-Nd同位体岩石学的研究を行った.

 研究目的: 佐野川はんれい岩体はYajima(1970)などにより報告されている.はんれい岩体は富士川層群を中新世に貫入し,また,同じところへ鮮新世に安山岩と玄武岩の貫入があったとされている.しかし,同位体岩石学的研究はいまだなされてはいない.はんれい岩体中の貫入岩である安山岩中にはんれい岩質の捕獲岩が存在しているが,はんれい岩体との関係の有無などははっきりしていない.そこで,今回の研究では,はんれい岩体,安山岩,及び安山岩中のはんれい岩質捕獲岩の関係を考察する.

 研究結果: 佐野川はんれい岩体および,鉱物組み合わせにより捕獲岩から7サンプルを選び出し,鉱物分離,抽出,Rb-Sr,Nd-Sm同位体比,および同位体希釈法による定量分析を行なった.(安山岩については,新潟大学教育学研究科の山本佳明がK-Ar年代測定を行なった.)作業の途中ではあるが,同位体比の結果から,ほぼ全サンプルのアイソクロンが,平行となると思われることから,新しい時代の岩石であると考えられる.今後,早急にデーターの処理を行ない,詳しいアイソクロンを得て,考察をいそがなければならない.


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Institute for Study of the Earth's Interior