水素同位体標準試料を用いたインターラボラトリーキャリブレーション

Inter-laboratory calibrations of hydrogen isotopes using standard samples

栗田 直幸

Naoyuki Kurita

北大・地球環境科学

受け入れ教官:日下部 実


1.はじめに
 北海道大学・地球環境科学研究科・化学物質循環講座に新しく質量分析計が導入された.それに伴い,本講座の新質量分析計と岡山大学固体地球研究センター基礎火山学部門揮発性物質地球科学研究分野(以後日下部研究室)の質量分析計を用いて水素同位体比標準試料の相互検定を行った.

2.相互検定
 日下部研究室と北大・地球環境科学では水の還元法が異なるために相互検定はそれぞれの方法によって行った.岡山大学では金属Znを用いて水を水素に還元しているのに対し,北海道大学では金属Mgを用いて水素に還元している.まずMg法によってあらかじめ北海道大学で処理したサンプルと岡山大学でMg法を用いて処理したサンプルを日下部研究室の質量分析計で測定し,その後岡山大学でZn法によって処理したサンプルと北海道大学でZn法によって処理したサンプルを北海道大学の質量分析計で測定する計画で本研究を行った.

3.試料
 試料はIAEA(International Atomic Energy Agency)によって配られている国際的な標準物質であるV-SMOW及びSLAPならびに,この2つの試料の中間の同位体比を持つ3試料(蒸留海水,脱イオン水,南極氷河)の合計5試料について4回以上繰り返し試料を調製し質量分析を行った.

4.結果
 岡山大学から戻ってきて以来現在まで,本講座の質量分析計のマシントラブルのため同位体比測定を行うことが出来なかった.よって今回は岡山大学における測定結果のみを述べる.Mg法で処理したV-SMOW及びSLAPの値とZn法で処理したV-SMOW及びSLAPの値を比べると,その差がV-SMOW,SLAPともにZn法によって処理した値の方がMg法によって処理した値よりも4.4‰だけ高い値となった(表1).またその他の3試料も同様にZn法によって処理したH2ガスがMgで処理したものよりも4.4‰だけ重い値になっていた.なお,リファレンスガスには日下部研究室でサブスタンダードとして用いられているOKADを用いた.


	表1  Zn処理法とMg処理法による比較

		Zn法	偏差	Mg法	偏差
	------------------------------------
	V-SMOW	94.5	0.87	90.2	0.89
	SLAP	-322.4	1.21	-327.4	1.56

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Institute for Study of the Earth's Interior