地球深部物質の高圧高温での熱伝導

Thermal conductivity of deep Earth materials under high pressure and high temperature

大迫正弘

Masahiro Ohsako

国立科学博物館

受け入れ教官:伊藤 英司


 地球内部とくに地球のマントルを構成すると考えられる鉱物・物質の熱伝導率を高圧・高温で測定する実験研究を開始した.ふつうこのような巨視的物性測定の実験では数mmから数cmの大きさ,数10mg以上の量の試料を必要とする.しかし地球内部に関わる実験では通常少量しか得られない高圧鉱物をも対象とする.そこで測定も小さい試料で行うことができる方法を探す必要がある.この研究では,熱伝導測定法として一次元の過渡的方法を採用した.薄い円盤状の試料に板状の発熱体を入れ,これにパルス電流を流して瞬時加熱し,発熱体から離れた試料中の一点の温度変化をとらえて熱拡散率と熱伝導率を同時に求める.

 高圧実験は6−8分割球装置(USSA-1000,USSA-5000)で行った.一辺18mmのマグネシアムの圧力媒体(切り欠き11mmのアンビル用)を用いた.溶融石英を試料にして測定法の試験を行った.試料には,高さ0.5mm直径5mmの円盤を用意した.これを3枚重ね,一つの合わせ面に板状の発熱体を置き,もう一つの合わせ面には熱電対を入れる.発熱体は厚さが0.05mmのニクロム製で,電気抵抗値を大きくするためと面内で一様に発熱するようにエッチングによって多数の平行な切り込みを入れてある.熱電対はK型で,0.1mmの素線を溶接してから圧延して用いた.

 実験の目標とするところは,地球内部の状態に近づけた高圧高温での測定であるが,まずは温度を上げずに室温で加圧して測定試験をした.本年度においては加熱源と熱電対からの温度変化による起電力を検出して記録し読みとる測定装置の部分が不完全であったために,まだ高圧での測定値を出すにはいたらなかったが,発熱体,熱電対ともに加圧に対して異常はみられず,また検出するのに十分な熱電対の起電力を出せることがわかったので,この方法で実験を続けることにした.


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Institute for Study of the Earth's Interior