外部加熱式DACと自作マイクロラマン分光装置

神崎正美

こちらは神崎の公式ウェブページです。別途Wikiの方に雑多な情報を書いてますので、そちらを見て頂いた方が研究活動内容がより理解できると思います。


最近公開した解説(link)

粉末X線回折法による未知結晶構造決定法


最近の研究から

トリディマイト多形のラマンスペクトル:MC, MX-1とPO-10

Kanzaki, M. (2019) Raman spectra of tridymite modifications: MC, MX-1, and PO-10, J. Mineral. Petrol. Sci., 114, 214-218. Free access

トリディマイトはSiO2の高温安定相の1つであるが、数多くの多形を持つ。しかし、それらのラマン分光法による研究はあまり行われておらず、また多形の命名法を巡る混乱もあり、ラマン分光法で多形を正しく同定することが非専門家には難しかった。本研究では、トリディマイトの常温常圧で見られる3つの相のラマン分光測定を行なって、国際的に使われている命名法を使って提供した。また、これまでほとんど測定されていない低周波数部分も含めて、測定した。MX-1についてはこれが最初のスペクトルの報告となる。また、これらのスペクトルを参照して、過去文献のスペクトルを見直したところ、隕石からはMC多形がこれまで唯一報告されているが、一部の隕石には実はPO-10も含まれていることが分かった。ラマン分光法は前処理ほぼなく微小領域の測定ができるため、今後、トリディマイト多形の同定に役立つと予測される。

CO2を含有するメラノフロジャイトのその場ラマン分光法による高温観察

High temperature behavior of CO2-containing melanophlogite

Kanzaki, M. (2019) High-temperature Raman spectroscopic study of CO2-containing melanophlogite, J. Mineral. Petrol. Sci., 114, 122-129. Free access

メラノフロジャイトはSiO2組成のゼオライトの一種であり、かつ、包摂化合物でもある。結晶構造中にはM12とM14の2種のカゴがあり、そのカゴの中にCH4, N2, CO2など小さい気体分子が入っていることが知られている。本研究では、CO2を含むメラノフロジャイト試料をその場高温ラマン分光測定で調べ、その脱ガス過程(拡散過程)を調べた。低周波数領域でCO2による非常に強いlibrationバンドを見つけた。そのバンド及びCO2のラマンピークは約450 Cから強度が低下し、脱ガスがその温度から始まることが分かった。また、それと同時にCO2振動ピークが分裂することも見つけた。これは2つのカゴへのCO2の分布によると考えた。ラマン分光法は、メラノフロジャイトの脱ガス過程を調べることに適していることを示した。

Zn2SiO4 III, IV相の圧力誘起相転移

Kanzaki, M. (2018) Pressure-induced phase transitions of Zn2SiO4 III and IV studied using in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, 263-267, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, advanced publication Free accessの紹介

Zn2SiO4のIIIとIV相は高温高圧回収実験で見つかった相であるが、我々の結晶構造解析からは、本来の高圧相が圧力を下げる過程で密度の低い構造に転移してできたものと予想された。もしそれが本当であるならば、それらの相に圧力をかけると、本来の高圧相へ転移するはずである。本研究では高圧下でのラマン分光測定を行なって、実際に転移が見えるか調べてみた。

高圧その場実験にはダイヤモンドアンビルセル高圧装置を使用した。ダイヤモンドの窓を通して、高圧下の試料にレーザービームを当てて、そこからでるラマン散乱を測定できる。ラマン散乱スペクトルは結晶構造によりピーク位置とピーク数が変化するため、相転移で結晶構造に変化があると、それを検出することができる。IIIとIV相は以前の我々の構造解析の時に合成した試料を使った。測定温度は全て室温である。

III相のその場高圧ラマン分光実験では、加圧時に5.5 GPaでラマンスペクトルに大きな変化が生じ、転移が観察された。減圧時には1.7 GPaでIII相へ戻り、転移圧のヒステリシスが見られた。以下、この高圧相をIII-HPと書く。IV相のその場高圧ラマン分光実験では、加圧時に2.5 GPaでラマンスペクトルに大きな変化が生じ、転移が観察された。減圧時には2.5 GPaでIV相へ戻った。こちらはヒステリススが非常に小さかった。以下、この高圧相をIV-HPと書く。どちらの転移もラマンピークが転移点において、消えたり、新しく現れていることから、一次相転移と考えられる。これらの結果から事前の予想通り、III-HP, IV-HPが本来の高圧相であり、III, IV相は安定ではない相と分かった。ラマンスペクトルから直ちに結晶構造を求めることはできないので、III-HPとIV-HPの構造はまだ分かっていない。しかし、結晶構造の系統的な研究を参照することで、可能性のある候補として、olivine, Na2CrO4, Ag2CrO4を提案した。今後、回折法による確認が必要である。

AlPO4 moganite相の温度誘起相転移

Kanzaki, M. (2018) Temperature-induced phase transition of AlPO4-moganite studied by in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, 126-134 Free accessの紹介

AlPO4 moganite相は我々が以前発見した高圧相であるが、moganite(SiO2の準安定相)と同様に温度誘起の相転移が予想される(石英のalpha/beta転移などと同様)。SiO2-moganiteの場合は既に研究があるが、天然/合成共に純相を得ることが難しく、共存する石英相が邪魔となり、ソフトモードはこれまで観察されていない。一方、AlPO4-moganite相はほぼ単相が得られるために、相転移を調べるには最適である。そこで、AlPO4-moganite相の高温その場ラマン実験を行い、転移の振る舞いを調べた。なお、低周波数領域を調べるために、特殊なラマンノッチフィルターを今回の実験では使用している。

実験の結果、ソフトモードと思われるモードが観察され、温度と共に低周波数側に大きくシフトした。ソフトモード周波数と温度の解析から、転移温度は415 ˚C、臨界指数(beta)は0.232と決まったが、臨界指数は普通の相転移(1/2~1/3)よりもかなり低い。その理由はわからなかった。また、ハードモードのいくつかもソフト化しており、ソフトモードと同様の振る舞いをした。第一原理DFT計算でソフトモードの振動モードを計算したところ、AlO4とPO4四面体が回転するモードが相転移に関連していることが分かった。高温相のソフトモードについても計算して、その振動の変位が低温相への転移の変位と一致した。

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