外部加熱式DACと自作マイクロラマン分光装置

神崎正美

こちらは神崎の公式ウェブページです。別途Wikiの方に雑多な情報を書いてますので、そちらを見て頂いた方が研究活動内容がより理解できると思います。


最近公開した解説(link)

粉末X線回折法による未知結晶構造決定法


最近の研究から

Zn2SiO4 III, IV相の圧力誘起相転移

Kanzaki, M. (2018) Pressure-induced phase transitions of Zn2SiO4 III and IV studied using in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, 263-267, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, advanced publication Free accessの紹介

Zn2SiO4のIIIとIV相は高温高圧回収実験で見つかった相であるが、我々の結晶構造解析からは、本来の高圧相が圧力を下げる過程で密度の低い構造に転移してできたものと予想された。もしそれが本当であるならば、それらの相に圧力をかけると、本来の高圧相へ転移するはずである。本研究では高圧下でのラマン分光測定を行なって、実際に転移が見えるか調べてみた。

高圧その場実験にはダイヤモンドアンビルセル高圧装置を使用した。ダイヤモンドの窓を通して、高圧下の試料にレーザービームを当てて、そこからでるラマン散乱を測定できる。ラマン散乱スペクトルは結晶構造によりピーク位置とピーク数が変化するため、相転移で結晶構造に変化があると、それを検出することができる。IIIとIV相は以前の我々の構造解析の時に合成した試料を使った。測定温度は全て室温である。

III相のその場高圧ラマン分光実験では、加圧時に5.5 GPaでラマンスペクトルに大きな変化が生じ、転移が観察された。減圧時には1.7 GPaでIII相へ戻り、転移圧のヒステリシスが見られた。以下、この高圧相をIII-HPと書く。IV相のその場高圧ラマン分光実験では、加圧時に2.5 GPaでラマンスペクトルに大きな変化が生じ、転移が観察された。減圧時には2.5 GPaでIV相へ戻った。こちらはヒステリススが非常に小さかった。以下、この高圧相をIV-HPと書く。どちらの転移もラマンピークが転移点において、消えたり、新しく現れていることから、一次相転移と考えられる。これらの結果から事前の予想通り、III-HP, IV-HPが本来の高圧相であり、III, IV相は安定ではない相と分かった。ラマンスペクトルから直ちに結晶構造を求めることはできないので、III-HPとIV-HPの構造はまだ分かっていない。しかし、結晶構造の系統的な研究を参照することで、可能性のある候補として、olivine, Na2CrO4, Ag2CrO4を提案した。今後、回折法による確認が必要である。

AlPO4 moganite相の温度誘起相転移

Kanzaki, M. (2018) Temperature-induced phase transition of AlPO4-moganite studied by in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, 126-134 Free accessの紹介

AlPO4 moganite相は我々が以前発見した高圧相であるが、moganite(SiO2の準安定相)と同様に温度誘起の相転移が予想される(石英のalpha/beta転移などと同様)。SiO2-moganiteの場合は既に研究があるが、天然/合成共に純相を得ることが難しく、共存する石英相が邪魔となり、ソフトモードはこれまで観察されていない。一方、AlPO4-moganite相はほぼ単相が得られるために、相転移を調べるには最適である。そこで、AlPO4-moganite相の高温その場ラマン実験を行い、転移の振る舞いを調べた。なお、低周波数領域を調べるために、特殊なラマンノッチフィルターを今回の実験では使用している。

実験の結果、ソフトモードと思われるモードが観察され、温度と共に低周波数側に大きくシフトした。ソフトモード周波数と温度の解析から、転移温度は415 ˚C、臨界指数(beta)は0.232と決まったが、臨界指数は普通の相転移(1/2~1/3)よりもかなり低い。その理由はわからなかった。また、ハードモードのいくつかもソフト化しており、ソフトモードと同様の振る舞いをした。第一原理DFT計算でソフトモードの振動モードを計算したところ、AlO4とPO4四面体が回転するモードが相転移に関連していることが分かった。高温相のソフトモードについても計算して、その振動の変位が低温相への転移の変位と一致した。

急冷できるprotoenstatite

Kanzaki, M. and Xue, X. (2017) Protoenstatite in MgSiO3 samples prepared by conventional solid state reaction, J. Mineral. Petrol. Sci., 112, 359-364)の紹介 論文へのリンク

protoenstatiteは高温で安定なMgSiO3輝石相だが、一般には常温に回収できないと思われている(冷却中にclinoenstatiteへ転移するため)。一方、我々は普通の固相合成を使っても、protoenstatiteが結構な量、室温に回収できることを以前から知っていたが、これまで定量的な研究は行われてなかった。本研究ではごく普通の固相合成法を使って、冷却速度を4パターン変えた実験を行い、試料中のprotoenstatite量をRietveld法で評価した。

その結果、Rietveld法からはprotoenstatiteが回収した試料に30~40%存在していることが分かった(残りはclinoenstatite)。NMRでも若干少ないが、似た結果が得られた。冷却速度依存性は少しは見られた。今回の研究により、ごく普通に行われている合成実験においてもprotoenstatiteが1/3程度回収されることが分かった。したがって、これまでのMgSiO3の相平衡実験などの出発物質に使われたclinoenstatite試料には実際にはprotoenstatiteが混じっていた可能性が高い。これはそれらの実験結果の解釈に影響している可能性があり、よく調べられた出発物質を使って、再検討する必要がある。その1つの可能性として、orthoenstatite/clinoenstatite境界を巡る相平衡実験について少し議論した。

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