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解説JMPS2018-2

  • Kanzaki, M. (2018) Temperature-induced phase transition of AlPO4-moganite studied by in-situ Raman spectroscopy, J. Mineral. Petrol. Sci., 113, advanced publication (https://doi.org/10.2465/jmps.171219 ) の日本語解説

  • AlPO4-moganite相は我々が以前発見した高圧相であるが、moganite(SiO2の準安定相)と同様に温度誘起の相転移が予想される(石英のalpha/beta転移などと同様)。SiO2-moganiteの場合は既に研究があるが、天然/合成共に純相を得ることが難しく、共存する石英相が邪魔となるためか、ソフトモードはこれまで観察されていない。一方、AlPO4-moganite相はほぼ単相が得られるために、相転移を調べるには最適である。そこで、AlPO4-moganite相の高温その場ラマン実験を行い、転移の振る舞いを調べた。なお、この相は本来常圧では安定ではないが、500 C程度までは準安定に存在できることが知られている。

方法

  • AlPO4-moganiteは以前の研究で合成したものを使った。高温ラマン測定にはこのwikiでも紹介しているwire heaterを使った。今回の測定ではソフトモードを追いかけるために、低周波数領域(テラヘルツ領域)での測定が必要であるので、これもこのwikiで紹介している低周波数領域を測れる特殊なノッチフィルターなどをつけた自作顕微ラマン分光法装置(488 nm)を使った。

結果と議論

  • 実験の結果、ソフトモードと思われるラマン振動モードが観察され、温度と共に低周波数側に大きくシフトした。下の図で三角印がソフトモード。
    softmode1.png
  • ソフトモード周波数の温度依存性の解析から、転移温度は415 ˚C、臨界指数(beta)は0.232と決まったが、臨界指数は普通の相転移(1/2~1/3)よりもかなり低い。その理由はわからなかった。非常にブロードで分かりづらいが、高温相のソフトモードも観察された。
  • また、ハードモードのいくつかもソフト化又はハード化しており、ソフトモードと同様の振る舞いをした。ただ、変化量が少ないため、ソフトモードと同様の臨界指数の解析では誤差が大きくなった。今回の場合はいいが、ソフトモードが観察できない場合は、ハードモードの解析が重要となる。
  • 第一原理DFT計算でソフトモードに対応する振動モードを計算したところ、AlO4とPO4四面体を回転させるモードが相転移に関連していることが分かった。これは既存のSiO2-moganiteのX線回折による結果と一致する。高温相のソフトモードについても計算した。この場合、0 Kで振動計算しているので、動的不安定な構造を計算していることになり、虚数の振動数を持つモード(つまり復元力が働かない)が1つ計算された。これが高温相のソフトモードと予想され、その振動の変位が低温相への転移時の変位とよく一致した。

謝辞

  • 本研究は、現在頂いている科研費を使って実施した。

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Last-modified: 2018-06-24 (日) 10:00:25 (395d)