熱水合成装置 (神崎 first 2006/09/05, last revised 2016/04/05))

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  • 注意:高圧高温の流体を扱うため危険ですので,使用したい方は神崎までご連絡下さい

由来

  • 私の研究で必要だったので、2006年8月最後の週に、退官した先生の遺物を第2研究棟 5F倉庫に移動して、リストアしました。熱水合成装置は卒論では使っていたので、それ以来26年ぶりくらいです。2台分を用意してます。まず、古い温度コントローラーと電気炉を交換しました。温度コントローラーはオムロンの温度コントローラーを使った、自作のもの。電気炉の1つはヘタれた1100 ˚C用管状ヒーター電気炉を再利用。もう1つは、管状ヒーターユニットだけ既製品で、それ以外を自作したものです。クロージャーナットの部分が熱くなるので冷却用のファンをつけてます。

装置概要

  • これはいわゆる熱水合成(hydrothermal)装置です。水熱合成とも呼ぶ。英語ではcold sealとも呼ばれます。常用圧力は1 kb, 温度最高は600 ˚Cくらい。貴金属管に試料を水とともにsealして,長時間保持することができます。一般に鉱物の合成や相平衡実験などに使います。私は含水鉱物(無機化合物)を作ったり、同位体濃縮試料の合成などに使用してます。長時間の保持(停電さえなければ1年でも)が可能です。
  • 現在内径8mmのvesselがいくつかあります。4mm径試料なら2本同時に入ります。
  • 電気炉(No.1)は1000 ˚Cまで到達しなくなったバテた炉を使ってます。それでも700 ˚Cくらいなら問題なく上がるので、熱水合成には問題なし。制御は自作の温度コントローラー(別項参照)。熱電対はN型を使ってます。
  • 後からファンを付けてcold seal部の温度を下げるようにしました。

標準的な使い方:

  • 電気炉を希望の温度に設定する。温度到達を待つ。なお熱電対は電気炉側に付いているので,試料位置を熱電対位置まで持って行く必要がある。
  • 試料高さを測って,試料中心を電気炉の中心にするためにはvesselをどの位置まで入れればいいかを計算し,その位置をvesselにマークしておく。一番右(1号)の場合,位置は177mm+試料高さ/2である。電気炉によって異なる。
  • 試料をvesselに入れる。Niのfiller rodを入れる。vesselを万力に固定し,クロージャーナットをモンキースパナを使って締める。ロックナットの位置に注意。それを高圧配管に取り付ける。
  • 排水用のバルブ(一番左側)を閉める。使用するvesselのバルブを開ける(既に他方が使用中の場合は,そちらの圧力を変えないようにバルブ操作は慎重に)。ポンプで加圧する。温度で圧力も上がるので1 kbまであげる必要はないが,リークがあるかどうか見るためにも1度1kbまで上げて見る。バルブを閉じる。排水用バルブをゆっくり開けて,配管内の圧力を落とす。
  • もし圧力がすぐ落ちるようなら,一度圧力を抜き,再度ロックナット及び取り付け時の締め加減を調整する。漏れが多い場合は水がナット等の穴から出てくるはずなので,漏れる場所を特定できる。
  • 電気炉をvesselの真下にもってくる。電気炉はラボジャッキの上に載っているので,レンチでジャッキを上昇させてマークした位置で止める。熱電対をvesselに接触するように動かす。ファンをONにする。
  • 圧力が少しづつあがってくるので1 kb以上になったらバルブをゆっくり開けて1 kbにする。開けるときは長い棒をバルブ穴につけて廻す。棒がある方が細かい調整ができるが,閉める時に棒を使うと力がかかりすぎるので,閉める時に棒は絶対使わないこと。手で直接バルブハンドルを使って閉める。
  • 圧力を下げすぎた時は排水用バルブを閉めて,ポンプで1 kb+alphaの圧力にする。バルブを開けて,圧力を1 kb程度にする。バルブを閉じる。排水用バルブをゆっくり開けて,配管内の圧力を落とす。
  • 加熱始めてから数時間は時々圧力をチェックする。外気温変動などにより10barくらいは変動するようである(倉庫なのでエアコンもなく…)。
  • 終了する時は,電気炉をラボジャッキで下げて,vesselを電気炉から出す。ある程度冷えるのを待つ。バルブをゆっくり開けて圧力を抜く。急ぐなら耐熱用グローブをして,高圧配管から外す。必要なら水で冷却する。この辺りの手順は実験内容によって変える必要があるだろう。
  • クロージャーナットを外して,filler rodを取り出して,試料を回収する。電気炉を切る。
  • 事故防止用のフェースカバーを用意してます。加圧中・作業時は使うこと。
  • Niのfiller rodを用意してあります。Tiもありますが,棒がちょうど8mmなので少し削る必要があります。
  • 今のところ急冷する手段がありません。コンプレッサーを買ってあるので、エアーをvesselに当てることは可能ですが,あまり冷却速度は上がらないようです。電気炉から出してすぐ水に直接つけるのはvesselの寿命を短くするのでやめてください。爆発した例が"Hydrothermal Experimental Techniques" Ed. Ulmer and Barnes, Wiley-Interscienceに書いてあります。
  • 記録用ノートあり(部屋の状況がよくないので、私の部屋に置いてあります)
  • この装置を使った論文
    • X. Xue and M. Kanzaki, High-Pressure delta-Al(OH)3 and delta-AlOOH Phases and Isostructural Hydroxides/Oxyhydroxides: New Structural Insights from High-Resolution 1H and 27Al NMR, Journal of Physical Chemistry B, 111, 13156-13166, 2007.
    • Xue, X. and Kanzaki, M., Proton distributions and hydrogen bonding in crystalline and glassy hydrous silicates and related inorganic materials: Insights from high-resolution solid-state nuclear magnetic resonance spectroscopy, J. Am. Ceramic. Soc., 92 (12), 2803-2830, 2009.

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Last-modified: 2009-07-15 (水) 14:55:27 (3053d)