分光器校正用のファイバー出力光源の自作 (2015/11/21作成)(2017/02/16更新)

  • 可視用分光器の入力部分(もともと両開きスリットがある)に、光ファイバー用のアダプタを作って取り付けた。そうなると校正用光源も光ファイバー出力のものがあると便利である。本当はOcean Opticsの水銀アルゴン校正用光源(HG-1)を持っているのだが、貸したきり戻ってこないので、手持ち部品で間に合わせの自作などを行った。

光ファイバーの分光器への入力部分

  • Acton社のちょっと古いイメージング分光器(SP-300i)用で、光ファイバーからの光をf=50 mmアクロマートレンズでコリメートして、同じ焦点距離のレンズでスリットへ集光している。必要ならレンズ間にフィルターが入る。下の写真がアッセンブルしたもので、全てソーラボのパーツで作成した。左端には光ファイバーのSMAアダプターが付けてあり、SMA端の光ファイバーが取り付けでき、XY調整もできるようにしている。右端は分光器の入射スリット部分に自作アダプタにより、固定できるようになっている。これの組み立てではSM1用の外ネジbinding ringを2つ、内ネジ用を1つ使用している。また、フォーカス調整のために長さがadjustableなレンズ筒を2箇所で使っている。中央に短いレンズ筒を挟んであり、これはフィルターを取り付ける時のため。テストではソーラボの30 mmケージを使って組んでいたが、外光が分光器に入るので測定時に部屋を真っ暗にしないといけない。そこでレンズ筒で全て置き換えて外光が入らないようにして,部屋を真っ暗にしなくても測定できるようにした。フォーカスを合わせるのが不便だが。
    fiber-optics.png

校正用ネオンランプ

  • ネオン光源用のランプは、電気工作用の安い市販ネオンランプ部品を使い、ランプのカバー部分をカットして外し、ランプ部分むき出しにして使用している。電源は100 Vなので、スイッチ付き電線を半田付けして、熱収縮チューブを使ってよく絶縁する。ソーラボの短いレンズ筒の側面に穴をあけて、そこにこのランプをエポキシ接着剤で固定した。ほぼ同じものを顕微ラマン分光器用に作ってあり、測定系に組み込んである(普段はArレーザーのプラズマラインで校正するので出番はほとんどなかったが、最近特殊なフィルターを使っている関係でプラズマラインがほぼ見えなくなったので、今後活用する)。下の写真の上側右端で橙色に光っているのがそれ。写真では外してあるが、使用時には本体にねじ込む。他端に光ファイバーのSMAコネクターが取り付けてある。本体中央にf=30 mmレンズが1つあるだけ。ネオンランプは光源が広がっているので、このレンズでアバウトに集光して、ファイバー端面へネオンランプの光を入れている。これでも分光器の校正には十分以上の光量が得られた。下図の下側はこのネオンランプ光源を光ファイバー経由で分光器に入射して、測定したスペクトルを示している。ネオンランプピークの正確な波長については、濱口先生の「ラマン分光法」の付録に詳細なリストがある。示しているのは校正した後のスペクトル。圧力測定のためのルビー蛍光法利用時の校正にも使える。
    Ne-Hg-lamp.png

Hgランプの加工後

Hg-lamp.png

校正用水銀ランプ

  • ネオンランプのスペクトルを見ると、580 nm以上にはたくさんピークがあって有用であるが、短い波長側では強いピークがほとんどない。これでは困る場合もあるので、水銀ランプも合わせて使うことを考えた。Ocean Opticsの水銀アルゴン校正光源はまさにこのような目的のための光源であり、1つの光源で広い波長範囲をカバーしている。ここでは水銀ランプは別途用意する。数ワットの小型殺菌管を使う電池式ライトは数千円で手に入るが、これだと使う時に目の保護に気をつけないといけないし、光ファイバーに集光するにはデカすぎる。他の可能性を色々考えたが、最終的には歯ブラシ用殺菌ケースに目をつけた。これは歯ブラシをケースに入れて、フタを閉めると、小さい殺菌ランプが数分間点灯する代物である。数千円で手に入る(アマゾンで買った)。電源は乾電池である。上記写真下側の白いケースがこの目的に買った歯ブラシ用殺菌ケースである(加工前)。ケースを閉めた直後なので、殺菌ランプが点灯中であり、左上の青く発光しているところが水銀ランプである。ケースを少し加工して、光ファイバー用SMAアダプタを固定した(ランプが端にあるので、ケース内部で一度ミラーで反射させている)。レンズによる光ファイバーへの集光はしてない。加工後を上に示している。このランプのスペクトルを下図上側に示す。典型的な(低圧)水銀ランプのスペクトルである。これらのスペクトルはどちらも300 g/mmのグレーティングを使って測定した。スペクトルの横軸は水銀発光ピークの既知の波長(下を参照)を使って問題なく校正できた。ちなみに蛍光灯でも水銀ピークが2〜3本は観察できるので、簡易的にはそれを使うことも可能である。
lamp.png
  • 水銀の発光ピークの正確な波長が見つからなかったので、Payling and Karkins, "Optical emission lines of the elements", Wiley (2000)と上記スペクトルとを対応させて、ピーク波長を以下に書き出した(空気中の波長, nm)。
    404.656
    407.783 weak
    435.832
    491.606 weak
    546.073
    576.959
    578.966 weak 次のピークと重なる
    579.066 
    585.925 weak

Science-Surplus ファイバー分光器の校正(2017/02/16追加)

  • Science-Surplusの分光器(DIY Kit)を購入。これは別のメーカー品(中古)を再利用して売っている会社で、調整はユーザーがやることでさらに安価(4万程度)で販売している(eBay)。調整済みも売っている。コンパクトで、入力はSMAの光ファイバー、シリアルインターフェースでPCと接続。電源はACアダプターを使う(付属)。SMA光ファイバーの短いのが1つ付属。購入したものは300~600 nmくらいの範囲で、1 nmの精度がある(多分もっとよさそう)。Win7等で動く測定用プログラムも付いてくる。測定データはcsv形式でセーブできる。
Science-Surplus.png
  • この装置が使っている検出器は、SonyのILX511で、2048 pixels, 14x200 micronの1次元CCDアレイ検出器。
  • 精密な調整は後でやるとして、まず水銀ランプを測定した。未調整でもスペクトルは結構きれい(長波長側のピークが少し非対称気味)。そこで横軸(波長)を水銀ランプで校正してみた。まずプログラムを使って上記の水銀ランプを光ファイバーでつないで、測定した。ピーク位置を7個拾って、Numbers(Appleの表計算ソフト)でプロットして、3次式にフィット。それの値をプログラムの校正に入力。それで再度水銀ランプを測定したのが下の図。感度も結構よい。508 nmのピークは水銀ランプにはないし、別の分光器では出てないので(上方の図参照)、高次のピークらしい(高次のピークをカットするフィルターは入ってないと書いてあった)。範囲的には低波長側は330 nmまであるが、実際にはセンサーには380 nm以下の感度はないようだ。調整時にもう少し長波長側が測定できるように調整しよう。これを使って、チューナブル・バンドパスフィルターの校正をやり直した。そのうち、光源を買って、可視の透過スペクトル測定ができるようにしよう。
Hg_lamp.png

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Last-modified: 2017-02-16 (木) 19:01:08 (277d)