我々が発見した高圧相

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  • 少し内容更新(20210703)
  • 我々のグループではこれまでの研究でいくつもの高圧相を発見しています。最近は高圧その場ラマン分光法測定で新しい高圧相を見つけるケースが増えてます。構造解析自体もStructure Determination from Powder Data(SDPD)法を使って、出来るだけ自分たちで行ってます。リンク先(CODデータベース)は結晶構造情報データを含むcifファイルです。Vestaなどの結晶構造を表示するプログラムを使うと、cifファイルを読み込んで、構造を表示させることができます。我々が見つけた・解析した構造は全てCODへデポジットしてます。

我々が発見した高圧相

  • Na2Si2O5高圧相 I
  • Na2Si2O5高圧相 II
  • Na2Si4O9高圧相
    • これらはカナダのアルバータ大学にポスドク、その後ラボマネージャーとしていた時に見つけた高圧相です。
    • 上記3つの相関係&NMR分光:M. Kanzaki, X. Xue and J.F. Stebbins, Phase relations in Na2O-SiO2 and K2Si4O9 systems up to 14 GPa and 29Si NMR study of the new high-pressure phases: Implications to the structure of high-pressure silicate glasses, Phys. Earth Planet. Int., 107, 9-21 (1998).
    • 残念ながらこれらの結晶構造解析は別の人たちにやられてしまいました。
  • CaSi2O5 titanite相:CaTiSiO5 titanite (=sphene)相のTiがSiに置き換わった相。これもアルバータ大学に滞在中の発見。なおこの相は後に天然ダイヤモンド中の包有物として発見されましたが、鉱物としては正式に登録されてないようです。
    • 合成及びNMR分光:M. Kanzaki, J.F. Stebbins and X. Xue, Characterization of quenched high pressure phases in the system CaSiO3 by XRD and 29Si NMR, Geophys, Res. Lett., 18, 463-466 (1991).
    • 天然での発見:W. Joswig et al., Earth and Planetary Science Letters, 173, 1-6, 1999.
  • CaSi2O5_monoclinic相:titanite相の低圧側で生じる相。
    • 構造:Y. Kudoh and M. Kanzaki, Crystal chemical characteristics of alpha-CaSi2O5, a new high pressure calcium silicate with five-coordinated silicon synthesized at 1500 C and 10 GPa, Phys. Chem. Minerals, 25, 429-433 (1998).
  • phase_E:高圧含水マグネシウムケイ酸塩、いわゆるアルファベット相の1つ。これもアルバータ大学に滞在中。
    • 相関係:M. Kanzaki, Stability of hydrous magnesium silicates in the mantle transition zone, Phys. Earth Planet Interiors, 66, 307-312 (1991).
    • 構造解析:Y. Kudoh, L.W. Finger, R.M. Hazen, C.T. Prewitt, M. Kanzaki, D.R. Veblen, Phase E: a high-pressure hydrous silicate with unique crystal chemistry, Phys. Chem. Minerals, 19, 357-360 (1993).
  • topaz-OH高温高圧相(topaz-OH II)
    • 構造解析:Kanzaki, M. (2010) Crystal structure of a new high-pressure polymorph of topaz-OH, Am. Min., 95, 1349-1352.
    • NMR分光:Xue, X., Kanzaki, M., and Fukui, H. (2010) Unique crystal chemistry of two polymorphs of topaz-OH: a multi-nuclear NMR and Raman study. American Mineralogist, 95, 1276-1293.
    • topaz-OH IIと呼んでいるが、元々は福井さんが合成した試料に含まれていたもの。
  • AlPO4 高圧相 moganite_P2/c相
    • 未知構造として構造を解いたが、結果的にはSiO2鉱物であるmoganiteのSiをAl+Pで置換した構造だった。
    • 構造解析とNMR分光:Kanzaki, M. and X. Xue (2012) Structural characterization of moganite-type AlPO4 by NMR and powder X-ray diffraction, Inorganic Chemistry, 51, 6164-6172.
  • AlPO4 moganiteの高温相
    • 石英やクリストバライトと同じように高温相があると予想された。高温ラマン分光測定でソフトモードを検出し、転移温度を決定した(Kanzaki, M. (2018), Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 113, 126-134。高温相の構造解析はまだだが、第一原理計算で構造は予想ずみ。
  • AlPO4_AlVO4 (未知構造として構造を解いたが、組成の異なる同構造を後で見つけた。)
  • AlPO4_P21/c相 (AlVO4相と同じAl多面体短鎖からなるが、並び方が異なる。こちらは既知構造がない。)
    • 上記2相の構造解析及びNMR分光:Kanzaki, M., Xue, X., Reibestein, S., Berryman, E. and Namgung, S. (2011) Structures of two new high-pressure forms of AlPO4 by X-ray diffraction and NMR spectroscopy, Acta Crystallographica B67, 30-40. 最後の3名はインターンプログラム参加者。
  • Zn2SiO4 Cmcm相?(こちらは第一原理計算で予測された相)
    • 高圧ラマン分光でIV相を加圧していくと圧力誘起転移をすることを見つけた(解説JMPS2018-3)。常圧には取り出せない。なので高圧その場回折実験が必要で、現在計画中。
  • Zn2SiO4 Na2SO4 III相?
    • これも高圧ラマン分光でIII相を加圧すると転移することを見つけた(解説JMPS2018-3)。これも常圧に回収できない。高圧その場回折実験を計画中。
  • Zn2SiO4 IIの高圧相:上のIII, IV相とは違って、II相自体は安定相であるが、加圧していくと高圧ラマン分光で12 GPa程度で相転移を見つけた。第一原理計算を行うとII相からスピネル構造が得られたので、スピネル相かと予想されたが、ラマンスペクトルがあまり一致しない。むしろオリビン構造ではないかと考えているところ。論文作成中。
  • Zn7Si2O8(OH)6 Zn-phase A相
    • 我々のポスドクだったJiangさんの高圧実験から見つかった高圧相で、含水マグネシウムケイ酸塩のphase Aのアナログ構造だった。これは投稿したが、査読者の意見から再実験が必要となっている状況。
  • Zn(OH)2 wülfingiteの高圧相
    • これは今年(2021)のJpGUのポスターで発表。これも高圧その場ラマン分光法を使って実験したが、どうも1つこれまで報告されていない相がありそうだった。
  • SiO2 tridymiteの高圧相
    • 最近行った高圧その場ラマン分光測定からtridymiteの高圧相を見つけたと思う。1.5 GPa以上で出現。急冷はできない。今年(2021)の鉱物科学会で話す予定。

我々が結晶構造を解いた結晶(発見自体は別の方)。

  • Zn2SiO4 III:高圧実験から回収された試料だが、実際には高圧下で安定な相ではなく、圧力を下げている間に転移してできた準安定相だと思われる。相が発見されてから40数年構造が分かっていなかった。論文はLiu, X., Kanzaki, M. and Xue, X., Physics and Chemistry of Minerals, 40, 467-478 (2013).第一著者は公派プログラムできていた中国の学生。
  • Zn2SiO4 IV:こちらも同様で、圧力を下げている間に転移してできた準安定相だと思われる。こちらも相が発見されてから40数年構造が分かってなかった。上記の論文に合わせて報告している。
  • CaAl0.5Si0.5O2.75低圧相 酸素欠損のあるペロブスカイト類似構造:Kanzaki, M., Xue, X., Wu, Y. and S. Nie (2017) Crystal structures of two oxygen-deficient perovskite phases in the CaSiO3-CaAlO2.5 join, Physics and Chemistry of Minerals, 44, 717-733. この相は発見されてからいくつかのグループが構造解析しようとしたが、うまくいってなかったようだ。これもインターンプログラムの一環で行った。最後の2名がインターン学生。
  • CaAl0.4Si0.6O2.8低圧相:酸素欠損のあるペロブスカイト類似構造:これも上記論文に合わせて報告している。上記と似た構造なので、上記が解けたらこちらは比較的簡単だった。
  • MgSiO3 protoenstatite:室温に回収されたprotoenstatiteをRietveld法で解析したもの。Kanzaki, M. and Xue, X. (2017) Protoenstatite in MgSiO3 samples prepared by conventional solid state reaction, J. Mineral. Petrol. Sci., 112, 359-364. doi:10.2465/jmps.170616
  • MgSiO3 clinoenstatite:上記のprotoenstatiteと共存するclinoenstatiteもRietveld法で解析している。Kanzaki, M. and Xue, X. (2017) Protoenstatite in MgSiO3 samples prepared by conventional solid state reaction, J. Mineral. Petrol. Sci., 112, 359-364. doi:10.2465/jmps.170616
  • Zn2SiO4 V相:こちらは変形スピネル相(wadsleyiteのMgをZnで置き換えたもの)。相が発見されてから40数年構造が精密化されていなかった。Zn/Siのdisorderは見つけられなかった。Kanzaki, M., Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 113, 41-46, 2018. doi:10.2465/jmps.170617
  • Zn2GeO4:こちらは立方晶のスピネル相。こちらも相が発見されてから40数年構造が精密化されていなかった。Kanzaki, M., Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 113, 41-46, 2018. doi:10.2465/jmps.170617
  • Zn2GeO4:こちらは正方晶のスピネル相。こちらも相が発見されてから40数年構造が精密化されていなかった。立方晶相より高圧側で出現する。Kanzaki, M., Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 113, 41-46, 2018. doi:10.2465/jmps.170617
  • CaFe3+0.4Si0.6O2.8低圧相:酸素欠損のあるペロブスカイト類似構造で上記のCa Al0.4Si0.6O2.8低圧相と同じ構造で、Rietveld法で構造をrefineした。https://doi.org/10.2109/jcersj2.20138

MEM法で電子密度も求めた結晶構造


Last-modified: 2021-07-03 (土) 07:41:33