EXPOでRietveld

EXPOでRietveld解析のみ行う

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EXPOについて

EXPOは粉末回折X線データから未知結晶構造を解く直接法のプログラムだが、解いた構造のRietveld法による構造精密化もできる。EXPOの使い方については[EXPO2013の使用方法]もご覧ください。学生実習で使う予定もあって、年末年始に(沢山降った雪と格闘する合間に)EXPOとGSAS-IIで色々と遊んでみた。EXPOは結晶構造を解くために使ったことはあるが、Rietveld法には普段RIETAN-FPを使うので、これまで実際にEXPOのRietveld法部分を使ったことはなかったので、今回初めて使ってみた。

最初は直接法で構造を求めて、そこからRietveld法で構造をrefineしていた。これが普通の解析のフロー。しかし、遊んでいるうちに、cifファイルを最初に読んでおけば、構造を求めるプロセス(Le Bail, indexing, extract, phase ...)は全てパスして、直ちにRietveld法を使うことができることが分かった。これはEXPOとしては変則的な(不本意な?)使い方ではあるが、非常に簡単にRietveld法を試すことができるので、何らかの用途があるかもしれない。少なくともRietveld法のquickなデモには使える。GSAS-IIと比較したくなるが、私の個人的な感想ではEXPOの方が直感的に使えるところが良いと思った。また同じデータでEXPOの方がRwpが低くなった(ただGSAS-IIは今回初めて使ったのでもっと下げられるかも)。ただ、EXPOだと多相の解析はできなく、多様な回折データには対応してないなど万能ではない。GSAS-IIについてはGSAS-IIの使用方法に書いた。

EXPOでRietveld法のみ実施する際の手順

  1. EXPO起動。Newで、粉末回折データを読み込む。組成を要求されるが、これは適当で良い(直接法の時は正しい情報が必要)。波長の選択など。必要なら解析で使用する角度範囲を変える。Ka2が出ている場合はKa2をチェック。ダイアログでGoをクリック。データを読み込み、回折パターンが表示される。通常ならここからバックグラウンド推定、ピークサーチ、個別ピークフィッティング、指数付けに進むが、今回は何もしない。
  2. RefineメニューからRietveldを選択。Missing Informationのダイアログが出るが、OKを押す。そこでファイル選択ダイアログが出るので、回折データに対応する結晶構造のcifファイルを選ぶ。構造が別ウィンドウに表示される。
  3. RefineメニューからRietveldを選択。出てきたウインドウでAutomatic Proceduresの2つをチェック。Le Bail法もここからできる(その場合は構造のrefineはできない)。Refineボタンを押すと構造精密化(プロファイル等の精密化も)が始まる。Rwpが十分下がったらおしまい。結晶構造の個々のパラメータやプロファイル関数をrefineするかどうかはチェックボックスで選択できる。パラメータ間の制約も簡単につけられる(GSAS-IIの制約の付け方よりは遥に簡単)。
    EXPO-Rietveld.png
  4. 詳しい結果が欲しい場合はPrint Optionsを使う。格子定数の誤差が出力に見つけられなかったが、出力されたcifには入っている。もちろんrefineしてない場合は誤差はついてない。
  5. そうやって得られた回折パターン等を右に示す。図の右下はRwpの改善の様子。この例(forsterite)だとプログラムの起動からたった1分で解析が終わった…

    Rpで比べると(Rwpはweightの取り方に依存すると思うので)、同じデータでRIETAN-FPを使うとEXPOの結果よりもう少しRpが下がった。GSAS-IIはRpが何故か表示されないので比較しづらいが、Rwpや残差パターンから見て明らかにEXPOより悪い。GSAS-IIはまだ初心者なので、十分使いこなせてないためかもしれないが…GSAS-IIは使えるピーク関数は1つのみで、Thompsonら(1987)のpsudo-Voigtに、Finger et al.(1994)の軸分散ブロード化を使っている。非対称性はFinger et al.(1994)の方法を単純化して使っているようだ。ちなみにFinger et al.(1994)の第3著者のJephcoatさんは数年前にこちらの研究所の教授だった。

Last-modified: 2021-01-10 (日) 09:55:06