Foxで粉末回折パターンのシミュレーション方法(2017/11/07作成)

前書き

  • 最近のFoxにフリー結晶構造データベースCOD(Crystallography Open Database)の検索機能が内蔵されました。データベース自体を内蔵している訳ではなく、CODサイトをネット経由で利用します。既知構造をFoxに入力する際に非常に便利になりました。また、いつのまにか粉末XRDパターンのシミュレーションモードもできてました。
  • これらの機能をうまく使うと、データベース検索して得た結晶構造の粉末回折パターンのシミュレーションが簡単に素早くできました。Foxとしては変則的な使い方だとは思いますが、構造解析ではなく、ちょっと粉末回折パターンだけを計算してみたい事もあるかと思うので、ここにその方法を記録しておきます。まだ不安定なところ(Mac版)がありますが、下記の順番でやれば途中終了せずにパターンの表示までできました。なお、CODの検索機能などの紹介を含んだFoxについての最新の論文がCrystalsに出てます(Crystals 2017, 7, 322; doi:10.3390/cryst7100322)。

粉末回折パターンをFoxに計算させる手順

  • CODで検索するためにインターネットに接続している必要がある。また、firewallでMySQLポートがブロックされていると検索できない。
  • まずFoxを起動する。CODメニューからCryst.Open Databaseを選択する。開いたウィンドウで検索条件を入れて、Query CODボタンをクリック。CODサイトに問い合わせて、検索結果が表示される。結果の左端の化学式が表示されている部分をダブルクリックすると、その構造がFoxに読み込まれる。なお、検索結果は100個以上は表示されないので、多い場合は検索条件でさらに絞る。
  • ObjectsメニューからNew Powderpatternを選ぶ。Powder Diffraction...で、波長などのパラメータを予め設定しておく(後から変更できない)。Radiationタブから、Cu管球の波長などが選べる。また、Max Sin(theta)/lambdaをデフォルトよりは大きくしておく(高角度まで計算したい場合)。
  • DataタブからSimulation mode (no obs. pattern)を選ぶ。Min, Max 2theta, point数を訊かれるので、入力する(デフォルトでよい)。PhasesのタブからAdd Crystalline Phaseを選ぶ。ダウンロードした構造を選択して、OKボタンをクリック。別ウィンドウに粉末パターンが表示される。指数とピーク位置も表示される。拡大等できる。表示が変になったらウィンドウ上でダブルクリックする。
  • この計算パターンはDataタブのSave Pattern(text)から書き出せる。結晶構造はCrystalsのFileタブからSave as CIFでcifファイルとしてセーブできる。
  • 下図はこの方法で計算させたcoesiteのX線回折パターン(Cu Kalpha1を想定)。
    coesite.png

後書き

  • なお上記と同様なことは、1)CODサイトで検索し、cifファイルをダウンロード、2)Vestaでcifファイルをオープン、3)VestaからRietan-FPでその構造の粉末X線回折パターンを計算させることでできます。別項で書いているように1), 2)は私のプログラムで自動化できます。私は普段この方法で回折パターンのシミュレーションを行ってます。
  • 試したことはないのですが、Foxは中性子回折にも対応しているので、中性子の角度分散、TOFのパターンも計算できるはずです。
  • なお、CODデータベースにはまだ登録されていない結晶構造をボランティアでデポジットすることができます。デポジットの方法やCOD自体については、CODへデポジットをご覧ください。
  • FoxのCOD検索機能の実装は簡単そうなので(MySQLサーバーとやりとりするだけで自前でデータベースを持つ必要がない)、Vestaにも搭載されるとうれしいなあ(私のPythonスクリプトが不要になります)。

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Last-modified: 2017-11-08 (水) 08:16:48 (17d)