HDAC-Vの紹介

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  • 最近(2014年12月、Bassett先生から来た連絡によるとFoxwood Instrumentsは徐々にPES Enterpriseへと移るようです。また、PES EnterpriseはHDAC専用のプログラム温度コントローラーとイメージキャプチャー用ソフトを作成・販売しているとのことです。ウェブページはここです。やっと内容が掲示されましたが、説明がなさすぎる。
  • Bassett先生の水熱DAC(HDAC-V)を購入しました(2011年末)。これは単結晶ダイヤモンド2個で試料を挟んんで、圧力を発生させる装置です。さらにヒーターが組み込まれていて、高圧高温状態を実現できます。この装置は特に含水系の実験に適してますが、無水でも実験できます。ダイヤモンド窓を通して、光学観察、ラマン、赤外吸収、X線回折実験などが可能ですが、私の研究室では現在、光学観察と顕微ラマン測定を行ってます。さらにX線回折装置に載せて回折実験ができないかを考えているところです。
  • 高圧実験装置ですが、流体が逃げない程度の低圧での実験もできます。セラミックス、セメントの研究等への応用ができるはずです。試料は極めて小さいので危険性はなく、少量試料でもよく、簡単にその場観察ができる利点があります。
  • 共同利用・共同研究で利用することもできます。消耗品の都合もあるので、もし申請を考えの方は事前にご連絡ください。

HDAC-Vの概要(上の写真)

  • HDAC-Vはポスト(加圧ネジも)が2つのタイプで、形状が前機種(HDAC-III)がディスク状(3ポスト)だったのに対して、直方体になってます。ガスを流す部分はヒーター周りだけに限定されており、ポストや加圧ネジはガスが流れる部分の外側となり、前機種より熱的な影響を受けにくくなっています。
  • ポストが2つのために高い圧力発生では(安定性の点で)前機種よりも不利かもしれませんが、利点としては六角レンチ2本を両手で回転しつつ、観察することができます。
  • ガスを流す部分の窓はカプトンで覆われており、側面から内部を見ることが可能で、またX線を側面から広い角度で取り出すことができます。放射光を使った分光実験などに有利なようになってます。
  • 厚さも薄くなっており、より高倍率の対物レンズが使用できます(しかし作動距離15 mmくらいは必要)。また、側面からの観察やアクセスも前機種より簡単です。
  • 現在HDAC本家の情報をインターネットで探すのは難しいようです(Cornell大学のMineral Physicsのページがアクセスできなくなっている)。連絡先をここに書いておきます。Dr. William Bassett, Foxwood Instruments, 765 Bostwick RD, Ithaca, NY 14850, USA (wab7(at)cornell.edu)

加熱系

  • 2チャンネル出力のDC電源(GW Instek GPD-2303S)を購入しました。30V, 3A仕様なので、今使っているMoの細い方のヒーターであれば1000 ˚Cまで出ます。USBでPCから制御可能な仕様だが、Mac用のドライバーは用意されていないようだ。
  • セルの冷却にはPC用冷却ファンを使います。

観察・記録するシステムの構築

  • オリンパスの実体顕微鏡がベース。または顕微ラマンの光学系を使った観察。TVカメラのアナログビデオ出力をカノープスのTwinPact100でDV(firewire)へ変換。DVをMacbook Proで取り込む。firewireポートを持つMacが必要。最近のMacはthunderboltが付いているので、thunderbold/firewire変換プラグを使うと利用できる。取り込みソフトとしてMacに標準でついているQuick_time_playerが使える。
  • 温度はアジレントのデジボル(複数チャンネルをスキャンできるもの)で、Serial-USB変換器を介して、Macで読み、Mac画面上に上下アンビル温度を表示させる。このプログラムは自作している。RS232Cによる計測器の制御を参照。
  • Quick_time_playerで顕微鏡画像を画面に表示させておく(録画はしない)。その下部の邪魔にならないところに、温度表示ウィンドウを重ねる。この状態でさらにQuick_time_playerで画面自体の録画を行なう。つまりQuick_time_playerを2つ別目的で動作させている。録画する部分はマウスで選んで最小限にする。
  • 要は温度と時間がスーパーインポーズされた試料の動画が欲しいために面倒なことをやっている。以前なら2台のPC(or Mac)を使うか、1台のPC+DVDレコーダーが必要であったが、現在は1つのMacで何とかなる。

水でのテスト

  • まず水を入れて遊ぶ。泡を導入して、温度を上げ下げして泡の消滅・出現を観察。均質化温度は100 ˚Cくらいだった。さらに250 ˚Cくらいまで温度を上げるが、何か変だ。途中で水が逃げたようだ。HDACには問題なし。下の写真は150 Cくらいから温度を下げた時に泡が出た状態。Quick_time_playerで録画。下部の上下アンビル温度はデジボルで読んだemfを計算して表示。後で画像と温度を見ながら解析できる。
    bubble_HDAC.png
  • 水を入れて、少し加圧。実体顕微鏡なら六角レンチ2本で加圧・減圧しながら、試料を観察することが出来る。液体水と氷VIの相境界付近(1 GPaくらい)で圧力をふって、単結晶を作って遊ぶ。最初多結晶ができるが、少し圧力を下げると、小さい結晶から先に溶けていくので、最後の結晶が残ったところで圧力を上げてやると、1個の単結晶だけが得られる。さらにVIIへ相転移(2 GPaくらい)も観察。VIIは実体顕微鏡では分かりづらい。そのまま少し加熱して熔けるのを見る。ガスケットはpreindentしてないので、変形が大きい。

水+石英

  • Irガスケットを使う。石英の結晶を穴にいれて水を導入。泡も導入。均質化温度を見る。500 Cまで加熱した。石英はそれほど溶けていない。冷却時には泡が出ないが、水はまだ残っていることを確認。加熱時にガスケットが変形したため密度が上昇したのであろう。HDAC本来の目的のためには数度加熱冷却を繰り返した変形がほぼなくなるまでにしないといけない。

酸化物試料のみ(無水)

  • 水がないのでHDACというより外熱式DAC。インデントしてないガスケットの穴に試料を詰める。少しネジで加圧する。600 Cまで加熱し、10分保持、加熱電源を切る。圧力は測っていない。試料はガスケットの穴に入ったまま回収できた。後で微小部X線回折装置で相をチェックする。無水の場合、試料がよほど透明でない限り、上面キュレット近傍の試料しか観察できない。

水酸化物

  • インデントしてないガスケットの穴に試料を詰める。少しネジで加圧する。加熱時に脱水し、流体が生じる。系によっては高温側で固相を溶かして、流体のみになる場合も。冷却寺に結晶がガスケットから中心に向かって成長してくる。

顕微ラマン分光法

  • HDAC中の試料を顕微ラマン分光測定できるようにした(2014年始)。インターンプログラム(2014夏)で活用した。これまで5 GPa, 800 ˚C程度のその場ラマン測定が出来ている。下の写真がHDACを使う時の顕微ラマン分光器の状態。対物レンズはミツトヨの超長作動距離用50Xを使用。倍率が高いので試料全体の観察にはあまり向いていない。HDACは形状が複雑なので、自作のHDAC専用台の上に載せている。
    Raman-HDAC.png

メモ

  • 下側が球座である、K-type 0.05 mmサイズ、Moヒーターは0.005"を使用。Ar+H2ガス流量は500 ml/minくらいとマニュアルにあるが多分多すぎる。100 mL/minくらいで使っている。ガスは結構使うので使用する場合は予備ガスボンベを注文しておく(納品まで時間がかかるので)。
  • 実験時には、1)側面カバーを取り付け、ガスを流す(低温なら不要)、2)冷却用ファンを動かせるを忘れないように。また、ラマン実験時はラマン測定自体で忙しいが、ガスケットの状態(反射照明で)も時々チェックする。
    • 実験後には、上下ヒーターと熱電対等の状態をチェックする。必要ならセメントで補修をする。ダイヤモンドの状態もチェック。

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Last-modified: 2018-01-15 (月) 10:56:04 (463d)