ルビー蛍光測定装置の自作 (2016/01/31)

  • ルビー蛍光法用のレーザー入射光学装置部分を自作した。この装置は、レーザー光を光ファイバーの一方の端面から入射し、もう一方の端面に置いたルビーがこのレーザー光により蛍光を発生し、同じファイバーを遡ってきた蛍光を分光器に導いて蛍光ピークを観察する。ピストンシリンダーやマルチアンビル高圧装置での圧力測定への利用を考えている。

ルビー蛍光法とは?

  • ルビーの蛍光R1またはR2ピークは、圧力によって長波長側にシフトする。これを利用して、ルビー小片を高圧セルに入れておいて、レーザーで蛍光を励起して、その波長を分光器で測定することで、正確な圧力を求めることができる。光学的に高圧セル内にアクセスできることが必須。温度を上げると蛍光は急激に弱くなるので、高温下では使えない。顕微ラマン分光法にダイヤモンドアンビルセル中のルビー蛍光スペクトル測定例を置いてある。普通はこのようにダイヤモンドアンビルセル中で、透明なダイヤモンド窓を透過させて、レーザーの照射と蛍光の測定が使われることが多い。しかし、そのような光学窓を持たない場合(ピストンシリンダーやマルチアンビル装置)でも、光ファイバーさえ何とか導入できれば、そして光ファイバーが圧力に耐えれば、測定することは可能であり、そのような実施例は過去にもいくつか報告されている。

レーザー

  • ルビー蛍光を励起するために使う。基本的にはルビー蛍光波長(690 nm付近)よりも短い波長であれば何でもいいはずだが、グリーンレーザー(532 nm)が最も手頃である。使っているのは、秋葉原の秋月電子通商で買ったもので、3千円ほど。仕様は1 mW以下となっているが、かなり強いので、テストしている時はレーザー用メガネを使った方が安全だろう。電源用電線に3Vの電源をつなぐだけで発光する。ルビー蛍光観察にはこれで十分。このレーザーは本体真鍮部分が直径12 mmくらいなので、ソーラボ社(光学パーツメーカー)のAD12NTアダプターに固定できる。このアダプター自体はソーラボの標準SM1レンズ筒に固定することができるので、ソーラボの光学系に簡単に組み込めるようになった。下の写真中央手前側のレンズ筒内にレーザーが固定されている(レーザー本体は見えないが)。写真に写っているように電源は単3電池2本である。最近、スイッチ付きの単3電池2本用電池ボックスに交換したので、ON/OFFが便利になった。数分くらい連続で点灯していても、レーザー本体の温度上昇は感じられなかった。安定性も特に問題なし。

光学系

  • 下に模式図を示している。レーザー(532 nm)をダイクロイックビームスプリッターに送ると、ほとんどの光は反射されて左側に向かう。それをレンズで集光して光ファイバーへ入射する。この光ファイバーの他端にはルビーが置かれている。レーザー光によって励起された蛍光(>= 690 nm)は光ファイバーに拾われて、逆方向に戻ってくる。ダイクロイックビームスプリッターはこの光を反射せず、そのまま透過させる。透過した光はレンズで集光して別の光ファイバーへ入射する。このファイバーの他端が分光器の入射側へつながる。
ruby-fluorescence-schematic.png
  • 実際に組み立てたものを下に示す。ソーラボ標準の30 mmケージを使って組んでいる。写真中央のケージブロック内にダイクロイックビームスプリッターが入っている。ビームスプリッターの取り付け部分は方向が微調整できるようになっている。集光用のレンズはどちらもf=50 mmのアクロマートレンズを使っている。光ファイバーはXY微調整ができるケージ用パーツに取り付けている。ダイクロイックビームスプリッターだけではレーザー光が分光器側に少し入ってくるので、蛍光だけを通すフィルターを設置して、レーザー光を完全にカットした。
rubyfluorescence.png

テスト

  • ダイクロイックビームスプリッターの方向を微調整して、光ファイバーへレーザー光を導入した。ファイバー他端から出るレーザー光が最大になるように調整した。その状態で、エドモンド・オプティクス・ジャパンから買ったルビーボールを光ファイバーの他端と密着させてみた。写真右側から覗いたところ、肉眼でも赤色のルビー蛍光が十分な強度で確認できた(フィルターでレーザー光は完全にカットされているので、肉眼で覗いても大丈夫)。
  • 分光器につないでルビー蛍光R1, R2が測定できることを確認。今使っている分光器(f=300 mm)だと、0.1 GPa(1 kbar)程度の精度となりそう。波長の校正は以前作った分光器校正用ファイバー光源で行うが、ネオンランプだと測定領域に4-5本ピークがあるので、波長校正にちょうどよい。実際に高圧装置に導入するには、左側の光ファイバー部分は、保護被覆付きの既製品ではなく、光ファイバー本体で作る必要がある。実験ごとに高圧装置に導入した部分は当然使えなくなる。ピストンシリンダー装置では、普通熱電対を通すところに這わせるため、ファイバーをかなり小さい曲率半径で曲げる必要があろう。折れないように注意が必要。
  • 現在使っている分光器は汎用で移動することは難しいので、マルチアンビルやピストンシリンダー装置のところへ持っていける分光器を試作中。

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Last-modified: 2016-02-01 (月) 17:29:10 (659d)