QualX2(粉末X線回折パターンの定性分析用ソフト) (2015/06/22作成)

最新情報

  • (2016/09/10) urlが変更された部分などを訂正
  • (2016/04/10) 誤字など訂正
  • (2016/02/23) QualX2が最近updateされていたのでダウンロードした。POW_CODも昨年9月にupdateされているようだが、ダウンロードしたファイルは2014年作成となっている。マニュアルも少し改訂されている。
  • (2015/09/04)リガクの.ascファイルをQualX2で読めるファイルに変換するWindows用プログラムasc2dat.exeをupdateした。センターの測定用PCにはインストール済み。別ディレクトリーからドロップしても、複数のファイルを同時にドロップしても動くようになった。使って見たい方はここからダウンロードできます。なお、.ascファイル内に、複数の回折データが含まれる場合にはうまくいきません。1つだけの.ascファイルを作成するか、エディタで編集しておく必要があります。

前書き

  • QualX2は粉末X線回折パターンの定性分析用ソフトである。EXPO2014と同じくイタリアの結晶学研究所が開発しており、アカデミックユーザーの場合は無料で入手できる。QualXでは使えるデータベースがPDF2だけであったが、QualX2では、CODを使った無料のデータベース(POW_COD)が使えるようになった。CODは結晶構造のオープンデータベースであるが、そこから粉末回折パターンを計算させたものがPOW_CODとなる。つまり、アカデミックユーザーの場合は、無料で粉末回折データの定性分析ができるということになる。残念ながらQualX2はWindows版しか提供されていない。
  • 某有償データベースの更新期間が過ぎて、どうしたものか考えていたところで、この無料の定性分析ソフトとデータベースを試してみた。なお、大手粉末回折計メーカーはCODを使って、自前の定性分析ソフト(有償)で使えるようにしている。
  • QualX2については次の論文が出ている:Altomare, A., Corriero, N., Cuocci, C., Falcicchio, A., Moliterni, A. & Rizzi, R. (2015). QUALX2.0: a quantitative phase analysis software using the freely available database POW_COD, J. Appl. Cryst. 48, 598-603.もし使用した場合には、論文で引用してあげよう。
  • その元のQualXについては次の論文が出ている:Angela Altomare, Corrado Cuocci, Carmelo Giacovazzo,Anna Moliternia and Rosanna Rizzi, "QUALX: a computer program for qualitative analysis using powder diffraction data", J. Appl. Cryst. (2008). 41, 815–817

入手方法

  • こちらにQualX2のページがあり、レジストレーションするとメールが届いて、ダウンロードできるようになる。マニュアルはレジストレーションしなくても読める。対応するWindowsバージョン(XP or 7) (32 or 64bit)をダウンロードする。また、POW_CODを使う場合は、そちらもダウンロードするが、私の場合は"Click here to download the latest POW_COD database"からダウンロードした分割zipファイルをうまく展開できなかった(展開するのは1つのファイルだけ)。そのため"Click here to download optional files"からダウンロードした分割してないzipファイルを解凍して使った。なお、無機物質だけのデータベースPOW_COD_INOもここで手に入る。

使用方法など

  • マニュアル通りで、特に問題なく使えた。最初にPOW_CODを使うデータベースとして登録する必要がある。3つテスト用の回折データファイルがついてくるので、最初はそれで遊んでみる。データファイルを開くと、波長を尋ねてくるのでCuなどと答える。任意の波長が入力できるので角度分散でとった放射光データの定性分析もできる。SearchメニューからSearch-Match法を実行する。バックグラウンド、ピークサーチ等は自動で行ってくれるが、自分でチューニングもできる。POW_CODデータベースを使って可能性が高い相がリストアップされる。実測とパターンを見ながら、同定していけばよい。元素で検索する相を制約することもできる。複数相を含む場合は各相の割合も計算してくれる(確定した相について)。装置メーカーのソフトと比べても見劣りはしない。安定性は多少悪い。
  • 測定データファイルの読み込みでは、回折計メーカーのデータフォーマットに対応してないので、ちょっとした加工が必要である。単純に各行に角度と強度ペアを記述したものか、1行目にスタート角度、ステップ角、ストップ角、2行目から強度データだけを書いたものが使えるので、回折装置のデータファイルを少しテキストエディターで加工すれば問題なく読み込める。本センターのX線回折装置ユーザーのことを考えて、Xojo(Realbasic)でリガクの.ascファイルを変換するプログラムを作った。.ascファイルをプログラムアイコンにドロップすると、変換して.datファイルを作成する。単純なプログラムですが、使ってみたい方はダウンロードして下さい。なおリガクの.ascファイルは測定によっては複数の回折データを含んでいることがありますが、本プログラムは複数データセットには対応してないので、表示等がおかしくなります。一度、.ascファイルをeditorで見てください。
  • 手持ち回折データを10個ほど試したところ、全て正しく相が同定された。我々の場合、ケイ酸塩類が多いが、American Mineralogical Societyの結晶構造データベース(AMCSD)がCODに提供されているため、鉱物関係は特にデータが充実していると思われる。1つ自動でうまくいかないのがあったが、これは角度ゼロ点が大きくずれていたためであった。ゼロ点補正をしたら、うまく同定された。
  • 私の手持ちのデータの場合、自動ではピークとして低角領域のノイズが沢山ピックアップされることが多い。そこで同定の前にピークサーチのオプションで、ピークのない低角度域を除外し、またピーク検知の閾値をいじれば改善される。その後、Search-Matchを行う。その後、たまに実際の測定時に使っているが、検索が失敗したケースは今の所ない。
  • デフォルトのピークサーチを行った後はピークリスト(角度、強度)を出力できるが、オプションを使うと出力できなくなる。せっかく低角度ノイズ由来ピークをオプションで削除しても出力はできない。後でエディターで処理する必要があり、ちょっと不便。指数付け用ソフトの入力データとして使える。
  • 検索された相のcard numberはCODデータベースでのID番号そのままなので、結晶構造を見たい場合は、こちらでその番号で検索すればすぐ出てくる。実際的には検索しなくても、直接www.crystallography.net/cod/xxxxxxx.cifとxxxxxxxをその番号で指定すればよい。CIFファイルがダウンロードされるので、それをVestaですぐ表示できる。
  • ゼロ点補正ができるが、これは同定せずに(指数を知らずに)、適当な回折ペア(00l, 002l, 003lなど)を探して計算しているので、複数相存在する場合や、ノイズがピークとして拾われている状態だと正しい結果は期待できない。使用に注意を要するが、上記のように検索がうまくいかない場合に、ゼロ点補正をしてから検索実行すると有効な場合があった。
  • 予想以上にQualX2とPOW_CODが使えると感じたが、気になる部分はPOW_CODがどの程度の頻度でアップデートされるかである。現在置いてあるデータは2014秋?にCODから作られたもののようである。自動的に更新するようにもできるはずだが。最近見たら、2015年9月の日付になっていた。
  • 以前、SDPDで結晶構造解析して論文にした高圧相の放射光回折データで検索してみたら、なんと同定された。これは我々の論文が既にCODに登録されていたため。CIFを要求される雑誌に我々が出したものは全て登録されていた。CIFを要求されない雑誌でも古い構造データは登録されていたが、最近のものは登録がまだだった。
  • オプションなど使って色々いじっていると、動作が不安定になることが多い。
  • 下の図は付属のテスト用サンプル回折データを使って検索した状態を示している。
QualX2.png

トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2016-04-10 (日) 09:18:29 (590d)