解説2020-2

解説JMPS2020-2

  • Kanzaki, M. (2020) CO2 distribution in CO2-rich melanophlogite from Fortunillo, Tuscany, Italy, J. Mineral. Petrol. Sci., 115, 471–478. (https://doi.org/10.2465/jmps.200611)の日本語解説

  • メラノフロジャイトはSiO2組成のゼオライトの一種であり、かつ、包摂化合物でもある。結晶構造中にはM12とM14の2種のSiO4からなるカゴがあり、M12は5角12面体で、M14はM12にさらに2つ六角形を加えた多面体となる。このカゴの中にCH4, N2, CO2など小さい気体分子が入っていることが知られている。M14の方が体積が大きく、CO2については主にこちらに入っていると、X線構造解析から分かっている。しかし構造解析されているのはCH4とN2が多いものがほとんどで、CO2に富むものは調べられていない。本研究ではイタリアのFortunillo産のCO2に富むメラノフロジャイトの構造解析を粉末X線回折法(Rietveld)により実施し、さらにカゴ内のCO2 分布をMEM法で調べた。もう一つの目的は,
    昨年同じ試料の高温ラマン測定からCO2 振動ピークが分裂することを報告しているが、その解釈が正しいかどうかを確認するためでもある。

方法

  • 試料はイタリアのFortunillo産のもので、結晶は1-2 mm直径の透明な球形をしている。光学観察からこれらは単結晶ではなく、微小な結晶の集合体だとわかった。それを粉末化した試料とそれぞれ500 ºC 5分と1000 ºC 24H熱処理した試料の3種をあいちシンクロトロン光センターのBL5S2で測定してもらった。
  • メラノフロジャイトは室温では普通はtetragonalであり(cubicも1例報告がある)、文献によるとFortunillo産のものもtetragonalと報告されている。光学的観察からは非cubicと思われるが、測定した粉末X線回折パターンからはtetragonal相に起因するピークは観察できなかったので、cubicとして構造解析を行なった。
  • CO2のM12, M14中での占有率を求めるために、総電子数が同じであるTi原子をM12, M14中心に置いてrefineした。また、MEMによる解析も行なって、CO2のそれらのカゴ中の分布を調べた。

結果と議論

  • 構造解析結果のうち、骨格構造についてはこれまで報告されている高温相(cubic)と一致した。CO2の占有率は非加熱のものでM14がほぼ1, M12が0.85となった。500 ºC加熱のものではそれぞれ0.79, 0.57と脱ガスにより少し下がった。1000 ºC加熱試料では完全に脱ガスしていた。過去の構造解析結果よりM12の等方性変位因子が大きいことが分かったが、これは以前の試料ではCH4が多く、それがM12に多く占有しているために変位因子が小さく見えたと解釈できる。
  • MEM法でCO2による電子密度を求めた結果は、M12, M14それぞれで電子密度分布は特定方向に伸びており、CO2分子がそれぞれカゴ内で特定の方向に向いていることが分かった。
  • 高温ラマンの結果から昨年の論文でCO2の振動ピーク分裂の原因を、最初空であるM12へM14からCO2分子が移動したためと提案していたが、明らかにM12に最初からCO2が多く存在しているので、その解釈は正しくないことが分かった。

謝辞

  • この研究は大学からの運営費交付金を使って行われた。

結晶構造データベースへのデポジット

  • 論文に載っているメラノフロジャイトの結晶構造3種はCODへデポジットした。

Last-modified: 2020-12-07 (月) 16:03:53